銀行統合による新規コールセンター立ち上げ。発展するシステム構築にはCXaaSが最適
東京きらぼしフィナンシャルグループ きらぼし銀行
2022.02.17
きらぼし銀行は、2018年5月1日に、東京都民銀行、八千代銀行、新銀行東京の3行の合併により誕生した銀行で、主に東京都、神奈川県北東部を地盤としています。3行の合併によりコールセンターも1拠点に統合。その新コールセンターで利用されるプラットフォームとして、弊社『CT-e1/SaaS』を選択し、新しく業務を開始されました。
今回は、新しいコールセンター立ち上げというプロジェクトを通して経験された、システムの選定・導入から、その効果、そして今後の展望について、所長の藤原知子さんとスーパーバイザーの鹿内明美さんにお話をおうかがいしました。
※インタビュー日:2021年12月7日
背景
システム統合に伴うコールセンターの統合
銀行の基幹システムの統合が2020年5月。それと並行してコールセンターの統合プロジェクトも2020年10月を目標に、約1年前(2019年の冬)にスタート。3行は異なる基幹系システムを利用していたため、コールセンターの統合も簡単ではありませんでした。
銀行におけるコールセンターの業務は多岐にわたります。サービスの説明や紹介はもちろん、お客様の口座情報の確認や問い合わせなどへの対応も必要となります。旧行ごとに扱う商品やサービスも違い、さらに企業文化も異なることから、難しいプロジェクトであったそうです。
『CT-e1/SaaS』導入
現行システムを選択して使い続けるか、新システムを導入するかは大きな選択でした。3行が合併したため、お客様からの問い合わせに回答をするだけでも大変なことです。そこに電話システムまで刷新となれば、現場担当者の負担は相当のものです。当然、コミュニケーターは、使い慣れたシステムを使いたい…。システムの統合に向けたプロジェクトは、コミュニケーターと統括する管理者のどちらにも相当の苦労を伴うものでした。
検討を重ねた結果、オンプレミスのPBXは老朽化により多額のコストが発生することから、クラウドシステム導入に踏み切る決断をしました。
限られた時間の中でシステムを選定する必要があったため、選定のためにコンサルティング会社を利用。現場の要望のヒアリングや条件の整理等を行い、選定コンペを実施しました。 その結果、カスタマイズに強みがあり、ユーザーサポートに優れていることなどから『CT-e1/SaaS』が選択されました。
「通り一遍のシステム導入ではなく、サポートに重点を置き、運用していく中で発生するさまざまな課題に対して寄り添った対応をしていただける体制に魅力を感じ導入を決めました。」と藤原さん。
コムデザインでは、導入ユーザーには『CT-e1/SaaS』のスペシャリストとしてFAE(フィールドアプリケーションエンジニア)が担当として一名つきます。きらぼし銀行様にも導入時から担当のFAEが割り当てられ、毎週の定例会に参加して現場の課題やニーズを整理し、解決策を提案いたしました(これは導入後も続いています)。
「店舗代行受電の拡大やフリーダイヤルサービスの拡充など、いろいろな検討課題を相談できることが大きな利点です。また、無料でカスタマイズや各種設定変更、自動音声ガイダンスの調整などを実施していただけるほか、FAEのサポートのもと、自ら設定変更ができるなど、柔軟な対応で運用を支えていただいています。」と藤原さん。
無償カスタマイズやFAEのサポートなど、弊社の特徴を評価いただいているようです。
結果
『CT-e1/SaaS』導入のメリット
『CT-e1/SaaS』を導入しての「最大のメリットは、CRMとの連携です」と、鹿内さん。CRM連携により、電話番号をキーにして顧客を特定し属性情報を表示、これまで時間がかかっていたお客様の特定が格段にスピードアップしました。「着信後1秒ほどでどのお客様かを把握できるので、今ではなくてはならない機能です」。また、聞き間違いやお名前を聞き取れなかった場合の聞き直しなども減少したということで、信頼が第一の銀行業において、お客様の情報を確実に把握できることの利点は大きいようです。
顧客特定は、お客様からの質問への回答スピードにも直結します。銀行業であるため、お客様の基幹業務系の情報は、コールセンターのCRMとは切り離された閉じたネットワークに接続している端末でないと照会できません。そのため、コミュニケーターは、『CT-e1/SaaS』やCRMの連携したPCと、基幹系システムのPCの2台を使用する必要があります。お客様の情報が早くわかれば迅速にシステム検索を行うことができ、質問にも短時間で回答できるようになります。
「お客様から、他行と比較してもきらぼしさんの回答が一番早いと褒められたことがあります」と藤原さん。コミュニケーターのみなさまの日々の努力が一番の要因ではありますが、その背景にはスムーズに連携され、活用しやすいシステムの存在も大きいようです。
また、「これまでコールセンターでは、CRM連携がなかったため、一度電話を切ってしまったお客様の情報を、前の話者に聞いて回ることもありました」。時間が勝負のコールセンターにおいて、CRM連携は時短化を実現するために大いに役立っているようです。
『CT-e1/SaaS』のステータスモニタリング機能も、コミュニケーターの業務の効率化に一役買っているといいます。他のコミュニケーターの状態や待機時間をリスト表示する機能で、自分が次に受電するのは何人目なのかを把握できるからです。「待機している人数を確認できるので、次の受電まで時間がありそうなら他の業務を行うなどの業務のコントロールができるのはメリットです」と鹿内さん。
ほかにも『CT-e1/SaaS』に標準搭載されている音声録音機能についても「さまざまな検索方法があるので助かっています」というご意見をいただきました。
私たちの提供するサービスを存分に活用していただいているようで、システム提供者としてはうれしい言葉でした。
AmiVoice導入とコールセンターマネジメント
きらぼし銀行では、新しいコールセンターの立ち上げ時に、『CT-e1/SaaS』だけでなく、AmiVoiceも同時に導入してシステム連携しました。コールセンターでの音声認識システムの導入は現在注目される先進的な取り組みのひとつです。
通話内容のテキスト化は、コールセンターDXの起点となりますが、それ以外にも導入理由があったそうです。そのひとつは、コミュニケーターにタイピングをする習慣がないということでした。多くのコミュニケーターはパソコンがあまり得意ではありません。タイピングのスピードは、後処理の時間に直結します。そのためタイピングの負荷を減らすために、思い切って導入を行いました。
導入したAmiVoiceは業務のスピードアップのために大いに活用されています。「通話内容から関連資料を検索できる機能が便利です。また、お客様との会話の中のさまざまな場面がテキスト化されるので、新人コミュニケーターなどの自習の材料にもなっています」と鹿内さん。
会話の中の特定の言葉を識別する機能を利用し、お客様からの「ありがとう」や、予め登録した応対に適切な言葉、不適切な言葉の回数を記録することで、コミュニケーターの応対品質の向上や評価にも役立てているそうです。また、感情解析機能を使用し、会話から「愉快/不愉快」を可視化して、「不愉快」の要因をテキストで確認したりしています。 蓄積していくテキスト化された会話は、大切な資産です。今後は、文書要約システムなどの導入も検討を進めていくそうです。
今後
今後の展望
「DXなくして今後のきらぼしはない。」と藤原さん。コールセンターのDX化は、きらぼしグループのDX推進に向けた取り組みの一環であり、グループ戦略としてスピード感をもって実行していきたいといいます。
「電話での問い合わせから、他のチャンネル、たとえばチャットボットやWebサイトのFAQなどへとサポートチャンネルを広げ、幅広い問い合わせに対して24時間対応できるように整備していく必要があると思います。そうした他のチャンネルを活用しながら、どのオペレーターも一定のレベルでサービスを提供できるように、さらにレベルアップを図っていきたい。」と藤原さんは今後の展望を語ります。
ネット銀行サービスの開始など、銀行の業務も日々変化していきます。その中で、コールセンターはお客様との接点を持つ重要な役割になっていくはずです。
「どうやってオペレーターに、仕事に目を向けて頑張ってもらうか。」と藤原さん。
企業文化の違いが背景にあります。コミュニケーターには得手不得手もあり、能力差もあります。なにかを変えようとすると障壁が多いのです。オペレーターが習得しなければならない商品やサービスの知識も増え続けます。同時にスキルの高いレベルでの均質化が求められます。 そのような高度な要求にこたえるためには、コールセンターのDX化は必然の流れといえるかもしれません。 きらぼし銀行のコールセンターは、スタートしたばかり。今後も、お客様によりよいサービスを提供するために、改善は続いていきます。
インタビューを終えて
今回のインタビューを通して、コールセンターのマネジメントがいかに難しく、そして奥深いものかを教えられました。弊社ができることは、 コールセンターを円滑に運営するできるためのプラットフォームを提供することですが、それを実現するためには現場の声が重要です。弊社の追加コスト無償に加えて手厚い人的サポートのあるCXaaSというビジネスモデルは、きらぼし銀行さんのように前向きに運営しているコールセンター運営には最適解であると再認識できる機会となりました。今後も、よりよいコールセンターとなるように、“いい人”としてサポートしていきます。